大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)3225号 判決

被告人 桜井長一郎 外

〔抄 録〕

被告人沢田虎之助の弁護人Aの控訴趣意について。

原審が、職権をもつて、昭和三十年三月十九日の判決宣告の期日を同月三十一日に変更決定するのに、被告人又は弁護人の意見を聞くことのなかつたことは、記録上明らかであつて、まことに所論のとおりである。原審が、公判期日の変更決定を行うにつき、急速を要し、被告人又は弁護人の意見を聞く余裕がなかつたということも、記録上必ずしも明らかでなく、従がつて、原審が、右変更決定に出でたのは、刑事訴訟法第二百七十六条及び刑事訴訟規則第百八十条の規定に照らし、違法たるを免かれないものと言わざるを得ないが、被告人沢田虎之助が、右変更された三月三十一日の公判期日に出頭したことは、記録上明白であり、同被告人の弁護人Aは出頭しなかつたけれども、同弁護人は、右変更決定の送達を受けながら、所用のため、敢て、その変更された公判期日に出頭しなかつたのであることは、本件所論において同弁護人の自ら認むるところであり、而も、被告人、弁護人共にその公判期日の変更されたことに何等異議を述べた事跡の認められない本件においては、右違法もその治癒を見たものと言わざるを得ないから、同公判期日に言い渡された判決までもこれを無効とすべきいわれはない。

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